COLUMN家づくりコラム

「高断熱住宅」のメリットは省エネ・光熱費抑制だけじゃない。冬の心疾患リスク低減に

イエタッタ編集部
2023.10.17

 

「125年間で最も暑い夏」など記録ずくめとなった2023年の夏も終わり、過ごしやすい日が増えました。しかし、あと数ヵ月もすると、朝晩の冷え込みが強く、赤城おろしと呼ばれる冷たい北風が吹きつける「埼玉の冬」がやってきます。

 

寒い冬を快適に過ごすために重要なのが「住まいの断熱」です。暖房などで暖められた部屋の熱を外に逃がさないようにガードするのが断熱。部屋の暖かさが保たれるため、エアコンなどの運転効率が高まり、結果として光熱費が抑えられるのです。

 

さらに最近では、断熱性能の高い住まいに住むと「健康にも良い影響がある」という調査結果が続々と発表されています。そこで今回は、住まいの断熱と健康の関係性について解説します。

 

- INDEX -

  1. 冬の底冷え、住まいの断熱性が原因かも
  2. 目安は18℃。暖かい室温で心筋梗塞リスクが減る
  3. 高断熱住宅はカビを防いで掃除も楽に

 

冬の底冷え、住まいの断熱性が原因かも

気象庁によると埼玉県の冬は、北西の季節風が強く、乾燥した晴れの日が多いという特徴があります。平野と山地、南部と北部、山沿いでは気候が異なりますが、10月頃から朝晩の冷え込みが厳しくなり、1月は最低気温が0℃を下回る日もあります。

 

「冬の朝、寒くて布団から出るのがつらい」「足元が冷える」などと感じている人は、現在の住まいの断熱性能に問題があるかもしれません。「冬に家の中が寒いのは当たり前」という考えは過去の話。断熱性能が高い最新の住まい(ZEH仕様の住宅)は、夜間に暖房などで暖めた部屋の熱が外に逃げるのを防いでくれるため、就寝中に暖房を止めても翌朝の室温を10℃以上にキープしてくれるのです。

 

例えば、外気温が3℃前後の冬に室温を20℃に暖めた部屋の暖房を午前0時に止めて、翌朝6時の室温を測ると、最新の住まいは室温が11.7℃になりました。一方、国内の住宅の約7割を占める断熱性能の低い住宅の場合は、室温が5.3℃となり、一晩で15℃も室温が低下してしまいます。

 

ところで、冬の室温は何度くらいにするが良いのでしょうか。WHO(世界保健機構)によると、寒さによる健康への影響を防ぐため、室内温度は「18℃以上」にすることを強く推奨しています。逆にいえば、室温が低いと健康への影響が出てくる可能性があるということです。

 

これを裏付ける調査結果があります。国立循環器病研究センターは室温の低下によって心筋梗塞のリスクが高まるというのです。

 

目安は18℃。暖かい室温で心筋梗塞リスクが減る

消防庁の統計資料から月ごとの心筋梗塞の発症率をみると、12月から3月までの寒い期間の発症率が高く、6~9月の比較的暖かい期間の発症率が低くなりました。心筋梗塞の要因のひとつが血圧の上昇です。室温の低い家に住む人ほど、起床時に血圧が高くなる傾向があり、高齢者ほど血圧の上昇が大きくなるようです。

 

このほかにも住まいの断熱性と健康リスクの因果関係を示唆するデータがあります。伊香賀俊治慶應義塾大学教授の分析・調査です。

 

気温や室温が低いほど心筋梗塞のリスクが高まるのであれば、冬の死亡率が高い都道府県はどこだと思いますか? 寒冷な北海道や東北地方などが上位を占めるのではと思いがちですが、実はトップは栃木県、2位が茨城県、3位が山梨県と北関東がワースト1、2となったのです。一方、北海道や青森県、新潟県、秋田県などは死亡率が低くなりました。

 

画像:高断熱住宅普及率の都道府県比較

 

調査では、なぜ寒冷な地域よりも温暖な地域のほうが冬の死亡率が高くなるのかを、高断熱住宅の普及率とからめて分析しています。熱の逃げ口となりやすい窓について、二重サッシまたは複層ガラス窓の住宅(高断熱住宅)の割合を計算したのが下の図です。

 

画像:冬季死亡増加率の都道府県別比較(死因内訳)

 

この地図をみると、寒冷な地域ほど高断熱住宅が普及・浸透している様子が伺えます。また、冬の死亡率が高い地域については高断熱住宅の普及率が低い傾向も読み取れます。

 

つまり、冬の死亡率が低い要因のひとつには高断熱住宅の普及率が関連しているともいえそうです。

 

高断熱住宅はカビを防いで掃除も楽に

 

住まいの高断熱化による健康への影響は、心筋梗塞リスクだけではありません。ぜんそくや健康診断結果などにも効果があるという調査結果も出ています。

 

床に近い室温が16.1℃以上の住宅では、16.1℃未満の住宅に比べてぜんそくの子どもが約半分だったそうです。
また、室温が12度未満の住宅に住む人は、18℃以上の住宅に住む人に比べて、悪玉コレステロール値が基準範囲を超える人が約1.6倍になり、心電図の異常所見のある人が約2.2倍になりました。このほか、夜中に何度もトイレに起きる過活動膀胱との関係では、12℃未満の住宅に住む人のほうが、18℃以上の暖かい住宅に住む人に比べて1.44倍多かったとしています。

 

このほかにも、高断熱住宅は結露が発生しにくく、掃除が楽になるというメリットもあります。結露によって発生しやすくなるカビやダニは、アレルギーや感染症の原因にもなります。これらを抑えることができるというのも高断熱住宅のメリットです。

 

このように健康にも良い影響がある高断熱住宅ですが、高い断熱性能のメリットを最大限に生かすには気密性を高め、高効率な設備機器を導入する必要があります。「健康で快適な暮らしがしたい」と思ったら、まずは身近な工務店やハウスメーカーに相談してみるところから始めるのもよいでしょう。

 

参考:国土交通省/健康&快適生活|家選びの基準変わります

参考:国土交通省/住まいと健康に関するガイドライン

参考:国土交通省/住宅の温熱環境と健康の関連

 

 

執筆:住宅産業新聞社

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