COLUMN家づくりコラム

「最大455万円」の住宅ローン控除が盛り込まれた税制改正大綱が決定、2024年に住宅取得に使えるお得な制度をまとめてチェック

イエタッタ編集部
2023.12.27

 

 

自民党と公明党の与党は2023年12月14日、今後の税制改正に関する方向性を示した2024年度の税制改正大綱を決定しました。テレビや新聞などのニュースでは、所得税で3万円、住民税で1万円の合計4万円の定額減税などの関心が高まっていますが、住宅関連の税制でも大きな変更が検討されているようです。特に、子育て世帯や若者夫婦世帯にとっては、かなりお得な制度になりそうです。

 

そこで今回は、最新の税制改正大綱から主に住宅に関する変更点について紹介します。さらに、2023年11月にスタートした補助事業「子育てエコホーム支援事業」についても解説します。今、住宅の取得を検討している人は、ハウスメーカーと相談しながらこれらの支援策をしっかり活用して、「損をしない」住宅づくりに取り組みましょう。

 

- INDEX -

  1. 住宅ローン控除の上限額拡充で子育て世帯・若者夫婦世帯の住宅取得を後押し
  2. 親や祖父母からの購入資金援助、住宅取得資金贈与の非課税制度が延長に
  3. 所得税額の特別控除や固定資産税の減額措置など、お得な制度が盛りだくさん
  4. 100万円の補助が得られる「子育てエコホーム支援事業」も活用を

住宅ローン控除の上限額拡充で子育て世帯・若者夫婦世帯の住宅取得を後押し

 

住宅に関する税制のうち、住宅取得者への経済的な影響が大きいもののひとつが「住宅ローン控除」です。この制度は、注文住宅を建てたり建売住宅を購入したりした場合などに、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除することができるものです。控除期間は13年。また、控除を受けるには合計所得金額が2000万円以下、50㎡以上の床面積を持つ住宅などの細かい要件をクリアする必要があります。

 

控除できる上限金額は高性能・高品質な住宅ほど高く設定されています。例えば、2023年12月31日までの制度では、長期優良住宅(コラム「家づくり専門用語をカンタン解説!国が普及を後押しする『長期優良住宅』って何?」で解説しています)や認定低炭素住宅は年間35万円・最大455万円(借入限度額5千万円の0.7%を13年間)、ZEH水準の省エネ住宅は年間31万5000円・最大409万5000円(同4500万円の0.7%を13年間)、省エネ基準適合住宅は同28万円・364万円(同4000万円の0,7%を13年間)、そのほかの住宅は年間21万円・最大273万円(同3000万円の0.7%を13年間)でした。

 

2024年度税制改正大綱が決定する前までは、24年1月1日以降に入居する場合、控除上限額の引き下げが計画されていました。長期優良住宅と認定低炭素住宅は年間31万5000円・最大409万5000円(同4500万円の0.7%)、ZEH水準の省エネ住宅は年間24万5000円・最大318万5000円(同3500万円の0.7%)、省エネ基準適合住宅は年間21万円・最大273万円(同3000万円の0.7%)に減り、そしてそのほかの住宅については住宅ローン控除の対象外としていました。

 

しかし、昨今の物価高騰への対応や子育て支援の観点から、子育て世帯と若者夫婦世帯に限り、24年と25年の2年間、住宅ローン控除上限額を引き上げ、23年までの上限額を維持する方向性となりました。子育て世帯と若者夫婦世帯とは「19歳未満の子どもをもつ世帯」か「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」。それ以外の世帯については当初の計画通り、上限額が引き下げられるので注意が必要です。

 

ところで、最大35万円の所得税の控除額ですが、所得税の納付額を上回った場合はどうなるのでしょうか。35万円の所得税となる年収は700~800万円とされています。税制改正大綱には、このようなケースを想定して「所得税から控除しきれない額については、現行制度と同じ控除限度額の範囲内で個人住民税から控除する」と明記されています。これなら安心してより高品質・高性能な住宅が選びやすくなりますね。

 

なお、少し気が早いですが2024年の税制改正大綱では2025年に入居した場合の住宅ローン控除について「2025年税制改正にて2024年と同様の方向で検討する」との方向性を示しています。今から土地探しを始める人にとっては、土地の購入から住宅の設計、着工、完成、引っ越しまで1年以上かかるケースもあります。今回の税制改正大綱で2025年に大きな制度変更の可能性が低くなったことは、じっくり家づくりを進めたいという人にとって安心材料といえそうです。

 

2024年度版の住宅ローン控除

※太字が2024年税制改正内容

住宅の性能区分・
世帯別
借入限度額 控除率 控除期間 最大控除額
2024年入居 2025年入居
長期優良住宅・
低炭素住宅
4500万円 24年と同様の
方向性で検討
0.7% 13年間 409.5万円
子育て世帯・
若者夫婦世帯
5000万円 455万円
ZEH水準省エネ住宅 3500万円 318.5万円
子育て世帯・
若者夫婦世帯
4500万円 409.5万円
省エネ基準適合住宅 3000万円 273万円
子育て世帯・
若者夫婦世帯
4000万円 364万円
その他の住宅 0円 / / /
23年12月31日までに建築確認 2000万円 0.7% 10年間 140万円
  • ※ 「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」
  • ※ 所得要件は2000万円以下
  • ※ 床面積要件は50㎡以上。合計所得金額1000万円以下の場合は40㎡以上に緩和
  • ※ 所得税から控除しきれない額は個人住民税額から控除

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
https://www.mlit.go.jp/page/content/001712685.pdf

親や祖父母からの購入資金援助、住宅取得資金贈与の非課税制度が延長に

 

物価高騰のあおりをうけ、上昇を続ける新築住宅の価格。状況によっては、父や母、祖父母からの資金援助を受けるケースもあるでしょう。一般的に、親から子への財産移転であっても贈与税を納める必要があります。ただし、住宅については住宅の性能・品質に応じて最大1000万円までの贈与であれば贈与税を非課税とする制度があります。

 

この「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」については、昨年の税制改正大綱で「2023年12月31日まで」と明記され、期限延長は不透明な状況が続いていました。しかし、2024年度税制改正大綱では「2026年12月31日まで3年間の延長」が盛り込まれました。物価高騰などによって住宅取得環境が悪化するなか、住宅取得の負担軽減や良質な住宅の普及を促進するためとのことです。

 

贈与税が非課税となる限度額は、住宅の性能に応じて2段階に設定されています。断熱等性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6以上で、耐震等級が2以上もしくは免震建築物、高齢者等配慮対策等級3以上の「質の高い住宅」の場合は上限額1000万円、それ以外の一般住宅は上限額500万円となります。

 

所得税額の特別控除や固定資産税の減額措置など、お得な制度が盛りだくさん

 

住宅ローン控除や贈与税非課税措置などの大型の税制制度のほかにも、住宅取得に関する税制度が数多くあります。

 

長期優良住宅や認定低炭素住宅などの質の高い住宅を取得した場合、質を高めるためにかかった費用の10%に相当する金額を、所得税額から控除する制度(認定住宅等の新築等をした場合の所得税額の特別控除)が2年間延長となりました。

 

新築住宅の固定資産税を2分の1に減額する特例措置は2026年3月31日まで2年間延長となりました。特例措置の期間は、戸建住宅は3年間、マンションは5年間。この特例を使うと、例えば2000万円の住宅を新築した場合、特例がないと固定資産税額が年間18万2000円となりますが、特例を使うと年間9万1000円に減額。国土交通省の推計によると3年間で約27万円の負担軽減効果があると試算しています。

 

最大100万円の補助が得られる「子育てエコホーム支援事業」も活用を

 

新築住宅を取得する場合、これまで紹介した税制のほかに、国土交通省による補助事業「子育てエコホーム支援事業」が活用できます。事業名称の通り、補助対象は子育て世帯・若者夫婦世帯。ここでいう子育て世帯とは18歳未満の子を持つ世帯、若者夫婦世帯とは夫婦のいずれかが39歳以下の世帯のことを指します。

 

なぜ補助対象者を絞ったのかというと、国土交通省は「エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図ること」が目的としています。そのため、補助対象となる住宅は、省エネ性能が高い、質の高い住宅のみとなります。

 

補助対象住宅と補助額は、長期優良住宅が100万円、ZEH住宅が80万円。2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手する住宅が対象となります。また、延床面積が50㎡以上240㎡以下という要件もあります。

 

このほか、市街化調整区域の土砂災害警戒区域や浸水想定区域に建設する住宅は、原則として補助額が半額となります。補助事業は注文住宅の新築に加えて新築分譲住宅の購入にも活用できます。補助額に差をつけたのは、国土交通省として質の高い住宅の普及を後押しするといった狙いもあるようです。

 

補助金の申請はハウスメーカーなどの事業者が行います。2024年3月下旬から予約申請と交付申請の受付を開始し、予算上限に達し次第、受付締切となります。新築住宅の取得を支援する同種の補助事業は、住宅取得検討中の人たちの関心が高く、補助金申請に対応するハウスメーカーも増えています。もし、補助金の活用を視野に入れているのであれば、早めの準備をオススメします。

 

子育てエコホーム支援事業(新築住宅)

対象住宅と補助額
  ①長期優良住宅 ……100万円
  ②ZEH住宅 ……80万円
    ※子育て世帯・若者夫婦世帯が対象
    ※注文住宅と新築分譲住宅が対象
    市街化調整区域かつ土砂災害警戒区域または浸水想定区域に立地する住宅は補助額が半額
  • 補助対象期間

    ・2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手

  • 申請方法

    ・建築事業者または販売事業者が行う

  • 交付申請期間

    ・2024年3月下旬から予算上限に達するまで

    (遅くとも2024年12月31日まで)

    ※2024年3月下旬から交付申請の予約が可能

参考:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712304.pdf

 

2024年も住宅の建築・購入に活用できるお得な制度が充実しています。これらの制度を活用して少しでもお得に新しい住宅づくりを進めてください。

 

 

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執筆:住宅産業新聞社

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※この記事は2023年12月27日時点の情報を基に執筆しております。