COLUMN家づくりコラム

2月10日は「二世帯住宅の日」。子育て、老後、経済的負担‐親世帯と子世帯の両方にメリット

イエタッタ編集部
2024.02.13

過ぎてしまいましたが、2月10日は「二世帯住宅の日」というのをご存知でしたか? 「二(2)世帯住(10)宅」の語呂合わせですが、約50年前の1975年に業界に先駆けて二世帯住宅商品を発売した旭化成ホームズが2015年に2月10日の二世帯住宅の日を制定し、日本記念日協会から正式に認定を受けているのです。

 

共働き世帯の増加や土地、住宅価格の高騰などを受け、親世帯からの子育てや経済的な支援が期待できる二世帯住宅は、注目が高まりつつあるようです。もちろん親世帯にとっても、老後の生活不安が解消できるといったメリットもあります。

 

そこで今回は、二世帯住宅や三世代同居について特徴や最近の傾向などを紹介します。

 

-INDEX-

  1. 親世帯と子世帯の関係、同居以外にもさまざまな住まい方
  2. 二世帯住宅のメリットは?「安心感」が上位を占める
  3. 30代以下の子世帯は「親世帯の土地」を活用

 

親世帯と子世帯の関係、同居以外にもさまざまな住まい方

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、「65歳以上の者がいる世帯」に占める三世帯世帯(親と子、孫)比率は7.1%。実数にすると約200万世帯あるとされています。1980年には全世帯の半分を占めていた三世帯世帯ですが、現在は少数派となりました。

 

ただし、三世代同居や二世帯住宅の良さやメリットが損なわれたわけではありません。例えば、二世帯が協力することで、家事や子育て、介護などの負担が軽減されます。さらに、建築費を分担したり、光熱費が節約できたりといった経済的なメリットもあります。

 

このほか、同居人数が増えるほど家が留守になる頻度が減るため、空き巣防止などの防犯効果も期待できます。

二世帯住宅の間取り・プランニングは、最近では大きく3パターンに集約されます。

 

独立二世帯型とは?

1つ目は、玄関が2つあり、お風呂やキッチン、ダイニングなどの生活空間が完全に分かれている「独立二世帯型」。親世帯と子世帯のプライバシーが確保できるといった特徴のほかに、どちらかの世帯が引っ越すと、大がかりな改修工事をすることなく別な世帯がそのまま入居でき、世帯を変えながら住み継ぐことができます。

ただし、同じ住宅に住んでいても顔を合わせる機会がないなど、他の間取りと比べて親世帯と子世帯のコミュニケーションが希薄になるといった特徴もあります。さながらマンションのお隣さんといったところでしょうか。

 

融合二世帯型とは?

2つ目は、玄関やお風呂などはひとつですが、キッチンやリビングを世帯ごとに設ける「共用二世帯型」。3つ目は玄関とお風呂、キッチンとリビングを共有しつつ、サブリビングを設けて世帯別の空間を確保する「融合二世帯型」。これらの間取りは、ある程度のプライバシーは守りつつ、二世帯がコミュニケーションを取りやすいプランニングです。定年退職した親世帯と共働きの子世帯など、生活リズムが異なる二世帯が同居するのに適した住まいといえそうです。また、共用部分が増えるほど建築コストが削減できます。

 

完全同居型とは?

3つ目は、「サザエさん」のようにすべての生活空間を共有する「完全同居型」もありますが、最近は少なくなっているようです。親と子、孫の三世帯がひとつ屋根の下でともに生活する――という昭和を彷彿とさせる暮らし方は、プライベートな空間がほとんどなく、気兼ねすることも多いことから、令和の時代にはあまりそぐわないのかもしれません。

 

二世帯住宅のパターン
  独立型 共用型 融合型 完全同居型
玄関 共用 共用 すべて
共用
お風呂
キッチン
ダイニング
リビング
プライバシー
コミュニケーション

 

そして、親世帯と子世帯の住まい方には、ひとつの住宅に住む同居だけでなく、同じ敷地内や隣接する住宅に分かれて住む「隣居」、片道1時間以内の距離に住む「近居」などもあります。独立二世帯型は隣居ともいえます。

 

 

二世帯住宅のメリットは?「安心感」が上位を占める

子世帯と親世帯が同居するメリットは何でしょうか。国土交通省の統計(既婚者とその親との住まい方)によると、子世帯が親世帯と同居する理由(複数回答)で最も多いのは「特に理由はない」(44.9%)を除けば、「介護、老後のため」が28.9%。次いで「緊急事態が心配だから」(23.8%)、「気軽に顔を見に行ったり、話し相手になったりできるから」(18.0%)、「子育て支援のため」(14.9%)などとなりました。いずれも「安心」につながる理由が上位を占めています。

 

参照元:国土交通省|既婚者とその親の住まい方-「近居」を中心とした実態と将来意向- (参考資料2)既婚者とその親との同居・近居理由

 

30代以下の子世帯は「親世帯の土地」を活用

それでは、二世帯住宅の実態についてみてみましょう。

旭化成ホームズが実施した親子同居に関する調査結果によると、子世帯の年代によって二世帯住宅の建設方法に特徴的な傾向があることがわかったようです。

 

子世帯が30代以下の場合、子世帯が賃貸に住んでいて、親世帯の土地を活用して二世帯住宅を建設する傾向が高く、子世帯が50代以上の場合は、子世帯が既に持家があるのにもかかわらず、親世帯の土地に移動するケースが多いことがわかったといいます。

 

次に30代以下の子世帯が二世帯住宅を選んだ理由について詳しくみてみましょう。

30代以下の同居理由の上位5位は「何かあったときに助け合えるから」(58%)、「親世代の老後を考えて」(56%)、「育児の協力を考えたので」(49%)、「建設時の経済的負担が少ないから」(36%)、「親の土地の立地が良いから」(28%)となりました。

 

参照元:旭化成ホームズ株式会社|~2月10日は二(2)世帯住(10)宅の日~子世帯の年代によって変化する二世帯同居~50代以上は持家を離れて親と同居に移行が主流~

 

旭化成ホームズが2019年に実施した同様の調査で6位だった「建設時の経済負担」が2023年調査では4位に上昇。さらに前回ランキング圏外だった「親の土地の立地が良い」が5位に急浮上。子世帯が親世帯の土地を活用し、建物スペースを共有することで建設費を抑えることができる二世帯住宅の経済メリットを大きく感じる人が増えているようです。

 

この調査結果を受け、旭化成ホームズは「国土交通省の地価公示における住宅地の平均価格推移からもわかるように、全国平均が2014年と比較すると全国平均価格が23%、東京都に限ると32%上昇しています。建設費の高騰や円高、金利上昇などの景況感の悪化が影響し、子世帯が土地を買うことが難しくなったのとともに、年収の伸びが少ないなかでの長期ローン負担の圧縮といったニーズが反映されていると思われます」とコメントしています。

 

10組の親子がいれば、10通りの考え方・暮らし方があるでしょう。二世帯住宅はその一例にすぎません。自分たちにとって最適な住まいのかたちを探してみてください。

 

 

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執筆:住宅産業新聞社

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※この記事は2024年2月13日時点の情報を基に執筆しております。