COLUMN家づくりコラム

家づくり専門用語をカンタン解説!年度末に世間を騒がせる「地価公示」って何?

イエタッタ編集部
2024.04.03

 

毎年、年度末の3月末になると「私の町の地価が上がった・下がった」というニュースが流れてきます。これは、国土交通省が毎年この時期に発表する「地価公示」について取りあげたニュースです。地価公示は土地の価格の目安にもなり、これから土地探ししようと考えている人にとっては、とても重要な情報のひとつになるでしょう。

 

今回は、地価公示の解説と埼玉県内の地価の最新動向について紹介します。

 

-INDEX-

  1. 地価公示をみると土地の価格の動きがわかる
  2. 全国の住宅地は3年連続で上昇中
  3. 埼玉県の地価も「3年連続で上昇中」
  4. 地価は土地探しの判断材料のひとつに

 

地価公示をみると土地の価格の動きがわかる

 

地価公示とは、毎年1月1日の土地の価格を示したもので、国土交通省が毎年この時期(3月末頃)に発表しています。国が土地の正常な価格を示すことで、一般の土地取引価格の指標にしたり、自治体などが公共事業用の土地の取得価格を計算したりする際に参考にしてもらい、スムーズな土地の取引をしてもらうのが狙いです。

 

令和6年の地価公示では、全国2万6千ヵ所を選び、土地取引のプロでもある複数の不動産鑑定士が評価し、審査し、調整して価格を算出しています。対象市区町村は1376(23特別区、787市、528町、38村)です。

なお、今回の地価公示には、1月1日に発生した能登半島地震の影響は反映されていません。

 

地価公示は、住宅地や商業地、工業地などの用途別や、三大都市圏や地方圏などの地域別でみることができます。地価は、1㎡あたりの平均価格と対前年変動率で示されます。

それでは、国土交通省が3月27日に公表した令和6年地価公示をみてみましょう。

 

 

全国の住宅地は3年連続で上昇中

 

全国平均でみた住宅地の地価はプラス2.0%となりました。これで3年連続の上昇です。前回がプラス1.4%だったので、上昇率が拡大したことになります。底堅い住宅需要によって、上昇地点が都市の中心部から周辺部へと拡大しているとしています。ただし、コロナ禍で地価が下がったことを踏まえれば、「コロナ前まで回復した」と捉えることもできそうです。

 

全国の住宅地の地価の動向をみると、上昇したのは全体の63.1%。三大都市圏では82.4%が上昇しました。一方、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)を除く地方圏では、上昇地点が39.3%にとどまるなど、都市と地方で地価の動きに違いが出ています。

 

東京圏では23区がプラス5.4%(昨年はプラス3.4%)。すべての区で上昇率が拡大しました。中央区や港区、目黒区などの都心や隣接区は、戸建て・マンションともに需要が旺盛で7%台の上昇率となりました。

 

埼玉県さいたま市は10区すべてが上昇し、プラス2.7%となりました。この上昇率は昨年とほぼ同じ水準です。地価の上昇基調が続いています。

ちなみに、全国の住宅地で最も変動率が高かったのはどこだかわかりますか? 1位は北海道のリゾート地の「富良野市北の峰町25-1」でした。1㎡あたりの価格は4万9500円と埼玉県平均の半分ほどですが、変動率はプラス27.9%でした。外資系のホテルなどが相次ぎ進出しているエリアです。

 

トップ5のうち4ヵ所が北海道、のこりの1ヵ所が沖縄県宮古島市。旅行客の増加がリゾート地の地価を押し上げているようです。

なお、住宅地の標準地価格が最も高かったのは、「港区赤坂1-14-11」で、価格はなんと1㎡あたり5570万円。周辺にはANAインターコンチネンタルホテル東京やオークラ東京、各国の大使館などがあるエリアです。

 

 

埼玉県の地価も「3年連続で上昇中」

埼玉県内の住宅地の地価公示の動向ですが、県平均の変動率はプラス2.0%で全国平均と同じ上昇率となりました。埼玉県も「3年連続の上昇」となっています。浦和駅や大宮駅、川口駅など京浜東北線沿線の徒歩圏で生活利便性の高い地点が特に上昇しているようです。

 

県南部の生活利便性が高い地域の住宅需要が堅調で、この勢いが県北部地域にも伝わりました。その結果、昨年のプラス1.6%から0.4ポイント上昇幅が拡大しています。

住宅地の平均価格は1㎡あたり13万9800円。昨年から4300円上昇しました。

 

 

市区町村の平均価格は、浦和区が39万4000円、大宮区が32万7500円、中央区が29万7000円など。変動率が最も高かった市区町村は、蕨市のプラス6.0%でした。このほか、戸田市(プラス5.9%)、川口市(プラス5.3%)、草加市(プラス4.0%)など、県南部の地価上昇が目立ちます。

 

埼玉県・市区町村平均価格順位(住宅地)

 

順位 市区町村名 平均価格
(円/㎡)
平均変動率
(%)
1 浦和区 394,000 3.6
2 大宮区 327,500 3.6
3 中央区 297,000 3.3
4 蕨市 289,500 6.0
5 南区 288,900 2.9
6 和光市 281,000 3.8
7 戸田市 277,200 5.9
8 朝霞市 258,800 3.9
9 志木市 248,300 2.8
10 川口市 238,700 5.3

 

埼玉県・市区町村平均変動率順位(住宅地)

 

順位 市区町村名 平均変動率
(%)
平均価格
(円/㎡)
1 蕨市 6.0 289,500
2 戸田市 5.9 277,200
3 川口市 5.3 238,700
4 草加市 4.0 147,300
5 朝霞市 3.9 258,800
6 和光市 3.8 281,000
7 大宮区 3.6 327,500
浦和区 3.6 394,000
9 中央区 3.3 297,000
八潮市 3.3 133,000

 

1都3県の地価動向を比べると、埼玉県の変動率は千葉(プラス4.3%)、東京(プラス4.1%)、神奈川(プラス2.8%)に次いで最も低い変動率となっています。

市町村別の平均変動率からも上昇基調がみてとれます。

 

令和6年の上昇市町村は37市町となり、昨年の33市町から増えました。横ばいは5(昨年は6)、下落は19(昨年は22)とそれぞれ減少しています。地図の分布をみると、東京都に近い県南部の上昇率は軒並み1.0%を超えています。

 

埼玉県内の住宅地で1㎡あたりの価格が最も高かったのが、「さいたま市浦和区高砂2丁目125番1」で、118万円でした。変動率はプラス9.3%で、同地点は変動率もトップとなっています。

2位は「さいたま市大宮区下町1丁目62番1外」で1㎡あたり99万8000円。3位は「川口市幸町1丁目14番1」で64万5000円でした。

 

 

地価は土地探しの判断材料のひとつに

 

埼玉県内の地価動向をみると、都心に近い県南部の上昇率の高さが目立ちますが、地価上昇トレンドはじわじわと県央へと広がっているようにもみえます。

これから土地探しから住まいづくりを始めようと考えている人にとって、住みたい場所のおおよその土地の価格を知ることは、総予算を決めるうえでも重要な要素です。

 

ただし、地価公示で発表された価格は、あくまで目安です。土地の形や広さ、その土地に接する道路の幅、角地かどうか、高低差、日当たり、災害危険箇所、都市計画道路の予定地、そのほかのさまざまな要因で価格は変わります。例えば、「土地を早く売りたい」と考えている地主さんは周辺よりも価格を低く設定するかもしれませんし、周辺相場よりも安い土地は「安く売らなければいけない理由があるのかもしれない」と、少し警戒する必要があるかもしれません。

 

もし、住みたい場所が決まっているのであれば、今はどのような土地が売りに出ているのかをその地域に詳しい工務店やハウスメーカーに相談してみるのもよいでしょう。インターネットにはまだ出ていない、これから売り出そうとしている土地の情報を持っている場合もありますよ。

 

埼玉県市区町村別平均価格・平均変動率一覧

数字の前の▲はマイナス

市区町村名 平均価格
(円/㎡)
平均変動率
(%)
市区町村名 平均価格
(円/㎡)
平均変動率
(%)
さいたま市 229,500 2.7 桶川市 94,700 1.2
西区 110,500 2.2 久喜市 59,800 0.0
北区 185,200 2.5 北本市 87,400 1.0
大宮区 327,500 3.6 八潮市 133,000 3.3
見沼区 116,800 1.3 富士見市 181,100 3.1
中央区 297,000 3.3 三郷市 114,800 2.1
桜区 171,300 2.0 蓮田市 91,200 0.9
浦和区 394,000 3.6 坂戸市 90,800 1.0
南区 288,900 2.9 幸手市 46,800 ▲ 0.3
緑区 178,300 2.0 鶴ヶ島市 97,300 2.0
岩槻区 86,800 2.5 日高市 49,300 0.2
川越市 143,700 2.5 吉川市 91,400 0.9
熊谷市 54,400 0.4 ふじみ野市 195,800 3.2
川口市 238,700 5.3 白岡市 83,000 0.3
行田市 33,300 ▲ 0.6 伊奈町 84,600 0.0
秩父市 54,200 0.0 三芳町 148,700 3.2
所沢市 182,500 2.6 毛呂山町 37,000 0.1
飯能市 88,100 0.9 越生町 23,900 ▲ 0.5
加須市 33,400 ▲ 0.4 滑川町 53,200 ▲ 0.1
本庄市 41,100 ▲ 0.2 嵐山町 36,800 ▲ 0.2
東松谷市 57,300 0.3 小川町 25,600 ▲ 0.6
春日部市 87,900 0.8 川島町 34,400 ▲ 1.1
狭山市 106,800 0.9 吉見町 28,600 ▲ 0.2
羽生市 27,500 ▲ 0.4 鳩山町 30,200 ▲ 0.8
鴻巣市 66,500 0.3 ときがわ町 17,300 ▲ 1.5
深谷市 44,100 0.3 横瀬町 31,900 ▲ 0.5
上尾市 118,800 1.8 皆野町 30,900 ▲ 0.6
草加市 147,300 4.0 小鹿野町 22,300 ▲ 1.2
越谷市 140,400 3.0 美里町 15,100 ▲ 0.4
蕨市 289,500 6.0 神川町 13,700 ▲ 0.8
戸田市 277,200 5.9 上里町 35,500 0.0
入間市 103,700 1.2 寄居町 37,400 0.0
朝霞市 258,800 3.9 宮代町 58,400 0.5
志木市 248,300 2.8 杉戸町 55,000 ▲ 0.1
和光市 281,000 3.8 松伏町 61,300 0.8
新座市 209,700 2.5

 

参照元:国土交通省/令和6年地価公示

参照元:埼玉県/令和6年 地価公示結果の概要

参照元:埼玉県企画財政部土地水政策課/令和6年地価公示のあらまし

 

 

 

 

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執筆:住宅産業新聞社

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※この記事は2024年4月3日時点の情報を基に執筆しております。