COLUMN家づくりコラム

家づくり専門用語をカンタン解説!最新住まいのインテリア流行色「グレージュ」って?

イエタッタ編集部
2024.05.02

 

新しい住まいづくりで皆さんが最も「ウキウキ、ワクワク」するのが、インテリアの色柄選びではないでしょうか。家族が集まるリビングの床は何色が良いか、壁紙の色や模様はどれにしようか、手持ちの家具や家電との相性はどうだろう――などと、考え出すと時間がいくらあっても足りません。

 

そんなとき参考になるのが、ハウスメーカー・工務店のホームページやSNSなどにアップロードされている施工事例写真ですが、最近は彩度を落とした「グレージュ」が人気のようです。今回は、「グレージュ」について、人気の理由と流行の背景などについて紹介します。

 

-INDEX-

  1. 「グレー」+「ベージュ」=『グレージュ』?
  2. イタリア・ミラノが住まいの最先端流行発信拠点
  3. 最新のトレンドカラー、キーワードは「相互作用」

 

「グレー」+「ベージュ」=『グレージュ』?

 

グレージュとは、グレーとベージュを混ぜ合わせたような色をイメージするとよいでしょう。ベージュの明るく優しい色味にグレーのスタイリッシュな印象が加わります。自然の色味に近く、どこか温かみのある落ち着いた雰囲気を与える色となります。

 

グレージュと似た言葉に「グレイッシュ」があります。こちらは、赤や青、黄色、緑など(有彩色)にグレー(灰色)を混ぜた色を指す英語となります。グレージュはグレイッシュという大きな色のグループのなかのひとつとも言い換えることができるでしょう。どちらの色も彩度が低く、住まいに取り入れることで落ち着いた空間を演出してくれます。

 

このグレージュやグレイッシュが最近の住まいで大流行しています。床材や壁紙などのインテリアメーカーやキッチンメーカーなどがこの低彩度の色を取り入れた最新の商品を発売しています。住宅会社やインテリアコーディネーターは、使える商材が増えたことで、グレージュで統一された空間が提案しやすくなり、最近の住まいのトレンドとなりました。

 

出典:「グレイッシュ」ってどんな色?トレンドカラーは生活者意識で変わる!【パナソニックの住まい・くらし方情報 1】
 

住まいでグレージュが流行っている理由のひとつが「さまざまな色や素材に馴染みやすい」といった特徴を持っているからでしょう。彩度が低く、主張しないグレージュは、木などの自然素材から鉄やガラス、タイルなどの工業製品まで、幅広いコーディネートが簡単にできるので「使いやすい、採用しやすい色」となります。

 

そのため、新築計画で内装色にグレージュを選ぶ人は、「手持ちの家具や好みの照明器具、インテリアとあわせやすいから」というケースが多いようです。また、グレージュは床や壁、天井にも採用しやすく、例えば部屋の色を濃淡・明暗の異なるグレージュで統一すると、部屋の広がりが感じやすい空間となるようです。

 

このほか、「グレージュはホコリや汚れが目立ちにくい」といった声もあるそうです。

 

 

引用:「ライトグレージュ」柄で統一した施工例(永大産業)

 

イタリア・ミラノが住まいの最先端流行発信拠点

 

SNSなどに掲載されている最近の施工事例写真をみると、グレイッシュにまとめられたおしゃれな部屋が多く目に止まります。グレイッシュカラーに対応する建材ですが、住宅産業新聞の過去掲載記事を振り返ると、2016年頃には国内メーカーが販売をスタートしていたようです。(2016年3月10日4面掲載、「LIXIL、インテリア建材と床材に新シリーズ」)

 

グレイッシュカラーが大きな注目を集めたのは、2019年4月にイタリア・ミラノで開催された世界最大級の国際家具見本市「ミラノサローネ」といわれています。

 

それまでも、インテリアコーディネートの土台となるベースカラーに、グレージュやグレイッシュなどのアースカラーを採用する流れはありました。しかし、2019年のサローネでは、インテリアや床、壁、天井など、木や布、石などの素材を問わず、すべてのインテリア要素を、グレージュなどの彩度の低い色でまとめたコーディネートが多くみられ、注目を集めたようです。

 

また、グレージュが流行した理由のひとつに、コロナ禍でステイホームを余儀なくされた社会的な背景もありそうです。コロナ禍が始まった2020年は、自由に外出もできずに長時間自宅で過ごしたという経験から、「自宅で癒やされたい、落ち着きたい」というニーズが生まれ、温かみのある落ち着いた色の「グレージュ」の流行につながった――という可能性もあります。

 

国内の住まいのトレンドは、サローネの2~3年後に建材メーカーが製品化し、その製品を住宅会社が採用するという流れです。2024年のミラノサローネは4月16~21日に行われました。今回のサローネでの展示内容が、数年後の国内の住まいのトレンドを席巻しているかもしれません。

 

 

引用:トレンド色を取り入れたシステムキッチン(タカラスタンダード)

 

最新のトレンドカラー、キーワードは「相互作用」

 

日本流行色協会(JAFCA)が毎年2回、生活者や市場調査、海外のトレンドなどの情報をもとに情報しているトレンドカラーについてみてみましょう。JAFCAが発信する情報は、服やインテリア、化粧品などのメーカーが、新製品開発の参考にしているそうです。そのため、今のトレンドというよりは、「2~3年後に流行るかもしれない色」と思っておいた方が良いでしょう。

 

住まいに関連する「2024年春夏JAFCAプロダクツ&インテリアカラー」のカラーテーマは「インタープレイ(相互作用)」です。

 

JAFCAはテーマ選定理由について『変化が激しくカオスとも言える時代、世界中のひとりひとりが、互いに良い影響を与えあうことができれば、きっと良い世界になるだろう。互いがいきいきと、それぞれの個性を謳歌できる関係を目指したいという願いを込めて、テーマをInterplayとした。』と解説しています。

 

詳しくは、下記ホームページを参照ください。
出典:日本流行色協会(JAFCA)/2024年春夏JAFCAプロダクツ&インテリアカラー

 

新しい住まいを建築や購入する際は、トレンドが理由だけではない「使いやすい、採用しやすい色」であるグレージュを取れ入れて検討してみてはいかがでしょうか?

 

 

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執筆:住宅産業新聞社

住まいや暮らし、ハウスメーカーや住宅設備メーカー、地域工務店、行政、自治体まで、住宅に関するあらゆるニュースを幅広く取り上げます。

※この記事は2024年5月2日時点の情報を基に執筆しております。