COLUMN家づくりコラム

コロナ禍で自宅での食事・料理の頻度が増加、今後の住まいは「食」が中心に

イエタッタ編集部
2023.05.25

 

コロナ禍で住まいのなかでの「キッチン」の役割や位置付けが変化したようです。外出自粛や自宅で過ごす時間が長くなった結果、外食が減り、自宅での食事が増え、それに伴い調理する頻度が高まりました。

毎日の食事を「より楽しく、よりおいしく食べたい」という想いから、キッチンは住まいの中心になりました。さらに最近では「食」を中心に住まいをつくる人も増えているようです。

今回は、最近の食やキッチンに関する調査結果について紹介します。

 

- INDEX -

  1. 料理頻度の増加、若年層でより顕著に
  2. 料理が日々の楽しみに、趣味やストレス発散にも
  3. 「食」を中心とした住まい提案も

 

料理頻度の増加、若年層でより顕著に

キッチンメーカーのクリナップの調査機関「おいしい暮らし研究所」が、キッチンと暮らしの変化を調べるために実施している調査(キッチン白書2022「食・料理に関する生活者調査withコロナによる料理実態の『今』」)によると、コロナ前と現在の自宅での料理頻度は増加傾向にあったといいます。

なかでも若年層の増加が目立ち、特に昼食が顕著という結果になりました。料理が息抜きとなり、食事を楽しんでいる様子がうかがえます。

 

調査は、頻度を問わず料理をする全国の20歳以上の男女4万人を対象に、インターネットでアンケートを実施しました。実施期間は2021年8月。

 

コロナ禍前と現在とで料理頻度の変化についてたずねたところ、昼食と夕食の調理頻度が増えたという回答割合が高くなりました。平日の週2日以上料理をする人の割合が、昼食と夕食、作り置きでやや増加傾向(回答割合が2~4ポイント上昇)がみられました。また、休日に週1日以上料理をする人の割合は、朝食、昼食、夕食、趣味の料理(お菓子作り)、作り置きの全項目で増加(1~4ポイント上昇)しました。

 

特に20~30代の若年層の昼食の料理頻度が増えたようです。料理時間(調理~片付けを含む)を詳しくみると、20~30代の男性は10分未満の超短時間の料理が減少し、10分から3時間未満までの簡単な料理やしっかり料理が増加傾向にありました。

また、20~30代の女性は30分未満の短時間料理が減少し、1時間から3時間未満のしっかり料理が増加。特に20代で時間をかけてしっかり料理をする傾向が顕著にあらわれました。

 

料理が日々の楽しみに、趣味やストレス発散にも

さらに「なぜ料理時間が増えたのか?」聞いたところ、20代の男性は「配偶者の自宅時間が増えた」(回答割合31%)、「料理が日々の楽しみの一つになった」(40%)、「これまで挑戦したことがなかったことに挑戦する」(37%)などが高く、自宅時間が増え、料理への挑戦が楽しみになり、手作りを贅沢や健康の元と捉えるなど、料理に対して好イメージを持ったようだ。このほか、「通勤時間が減り時間に余裕ができた」、「自分が自宅にいる時間が増えた」「食費の節約を意識するようになった」などの理由も多かったようです。

 

 

食事を手作りするモチベーションは、年代や性別で違いがでました。料理頻度が高まった20~30代の若年層のうち、20代の男性は「趣味」、「料理スキルの向上が日々の楽しみ」、30代の男性は「ストレス発散や息抜き」、「食べたいものがある/食べたいものを食べる」が高く、料理や食事を楽しんでいる様子がうかがえます。

 

20代の女性は「節約」「自身や家族の健康維持」「美容」「ダイエット、体づくり」、「料理のレパートリーを増やす」など、食事を豊かにするとともに、美容健康への配慮も忘れないという意識がみられた。一方、30代の女性になると「自分以外に料理をする人がいない」、「家族に食べてもらうため」などの回答比率が高まりました。

 

「食」を中心とした住まい提案も

ステイホームやテレワークで料理機会が増え、多くの人が「自炊疲れ」に陥っているといわれましたが、調査結果からは自宅での食事や料理に対して、ポジティブ・前向きな意見もみられます。コロナ禍を経て、料理頻度が高まり、食事をもっと楽しみたいという人が増えると、キッチン空間はどのように変化していくのでしょうか。最後に、最近のキッチン空間のトレンドを紹介します。

 

「食」が暮らしの中心なら、住まいのなかで最も良い場所にダイニングを配置したい――そんな要求に応えたプランがあります。最も日当たりの良い南側にダイニングとキッチンを配置したプランです。

 

 

ダイニングは大開口のテラス窓で半屋外空間のアウトドアリビングとつながります。「コロナ禍で自宅での食事や料理の頻度が2倍に増えたが、コロナ禍が明けてもこの生活スタイルを継続したい」という意見が多かったため、この「食」を重視したプランニングを提案したのだそうです。

 

また、本格的に料理を楽しみたいというのなら、キッチンとダイニングに壁を作り、空間を分けてしまうというプランもあります。

 

 

中庭に面する壁にキッチンを配置すれば、小麦粉をこねるところからパン作りをしたいけれど、粉が舞って部屋が汚れそうという心配もありません。料理に集中できるでしょう。

 

 

>>助成金の解説:ナビット、監修:住宅産業新聞社

 

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