COLUMN家づくりコラム

じめっとした梅雨到来、湿気は不快?快適に過ごすには「湿度コントロール」がポイント

イエタッタ編集部
2023.06.15

 

梅雨入りした日本列島――。高温多湿・低温乾燥の日本は、夏が終わるまでじめじめとした蒸し暑い日々が続きます。

曇りがちな梅雨時期の蒸し暑さの原因は「湿度」の高さが影響しています。つまり、湿度を下げることで快適な空気環境が実現するのです。

今回は、湿度と快・不快の関係などについて、空調設備機器メーカーのダイキン工業によるアンケート結果などを紹介します。

 

- INDEX -

  1. 最も不快な季節は「梅雨」
  2. 快適な環境が疲労軽減にも効果を発揮
  3. 本格的な暑さに慣れる前の6月は熱中症リスクが急上昇
  4. 住まいの天敵「結露」も湿度コントロールで抑制

 

最も不快な季節は「梅雨」

ダイキン工業が2019年4月中旬にインターネットを使って行った「住宅内空気の困りごとと部屋干しに関する実態調査」のアンケート結果(調査対象は1都3県に住む共働き核家族世帯の既婚男女20~50歳代の計400人)によると、住宅内空気の季節毎の快適度・不快度で最も不快に感じるのは「梅雨(6月~7月中旬頃)」(回答者の62・2%が「とても不快」「やや不快」と回答)となりました。

暑い夏や寒い冬よりも不快度が大きくなっています。

 

 

梅雨の時期、気温があまり高くなくても蒸し暑さを感じることはありませんか? これは、「湿度」と「体感温度」が影響しています。

体感温度を決める要素は、湿度のほか、温度や気流、輻射、着衣量、活動量の6つ。輻射とは、離れたところにある物体から赤外線などを介して熱が伝わる現象です。身近なとろこでは、電子レンジやストーブなどが輻射の現象を利用した機器になります。

 

湿度とは、空気中に蓄えることができる最大の水分(水蒸気)に対する割合を示しています。空気は高温になるほど蓄えられる水分量が多くなり、温度が低くなると少なくなります。湿度100%というのは、その空気に蓄えることができる最大水分量が含まれている状態のこと。また、湿度が同じ60%でも15度の空気と25度の空気を比較すると、25度の空気のほうが水分が多い空気ということになります。

 

一般的に、快適と感じる湿度の範囲は40~70%。なぜ、70%を超えると不快感を感じるのでしょうか。それは、汗による体温調節機能が関係しているとされています。湿度が高いと汗が蒸発しにくいため気化熱で体温を下げることができず、人体は体温を下げるため更に多くの汗をかこうとします。専門家によると、湿度が20%違うと体感温度は4度違うといいます。

つまり、じめじめする暑さを感じたら、湿度を下げると暑さによる不快感が和らぐのです。

 

快適な環境が疲労軽減にも効果を発揮

さらに、ダイキン工業は理化学研究所と共同で、温度・湿度と「疲労」の関係性に関しても調査・実証しました。試験結果は、28度以上の暑さを感じやすい環境では、湿度を下げることで体感温度が低下し、それに伴い不快感や疲労が軽減されることがわかったとしています。湿度コントロールが難しい場合は、室温を26度まで下げることで、快適性の向上や疲労の軽減効果が見込めそうとしました。

在宅勤務の頻度が高い人は、温度や湿度に配慮するのもよいでしょう。

 

本格的な暑さに慣れる前の6月は熱中症リスクが急上昇

さて、毎年夏になると熱中症で緊急搬送されるニュースが多く報じられます。熱中症のリスクは屋外だけではありません。

消防庁の2022年の調査によると、熱中症の発生場所で最も多かったのが「住居」(39・5%)。熱中症は、真夏に発症するイメージですが、まだ体が暑さに慣れていない6月や7月にもなりやすいとされています。特に、熱中症の主な原因となる高温多湿の環境には注意が必要です。

 

国は、熱中症の危険度を判別する数値として、暑さ指数(WBGT)の情報を提供しています。

この暑さ指数が28を超えると熱中症患者発生率が急増しています。熱中症の予防には、こまめな水分・塩分補給と適切な湿度コンロールが効果的です。

暑さ指数の実況や予測は環境省の熱中症予防情報サイトや天気予報などで確認してください。

 

>>引用元:日本生気象学会

 

住まいの天敵「結露」も湿度コントロールで抑制

余談ですが、温度が低くなるほど蓄えられる水蒸気が減ります。暖かい空気を冷やしたときに、蓄えられる水蒸気の量を超えて水滴となるのが「結露」です。

前述のアンケート調査によると、住宅内の空気に関する困りごとのトップ5(複数回答、回答者400人、カッコ内は回答率)は、①結露が発生する(24.8%)②居室と非居室で温度差がある(17.0%)③乾燥しやすい(15.5%)④湿気がたまりやすい(14.0%)⑤カビが生える(11.3%)となりました。

実にトップ5のうち、2位の温度差以外の4項目が「湿度」に関係した困りごととなりました。

 

 

湿度の高さは、蒸し暑さを感じるだけでなく、アレル物質のカビやダニの繁殖しやすさにもつながります。また、部屋干しした洗濯物から嫌なにおいが発生することもあります。室内と屋外の気温差によって発生する結露も、カビの原因となり住宅や家具などに悪い影響を与えます。

日本の住宅では、湿度をうまくコントロールすることが、健康で快適な暮らしや住宅や建材、家具の長寿命化につながります。それでは、湿度をコントロールするにはどうすればよいでしょうか?

次回は、快適な室内環境を実現する最新の空調設備や調湿建材などについて紹介します。

 

 

住宅産業新聞社

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