COLUMN家づくりコラム

2023年の路線価が公表。気になる地元の状況は?

イエタッタ編集部
2023.07.24

 

国税庁による2023年の「路線価」が公表されました。全国の路線価で最高価格の地点は、1986(昭和61)年以降38年連続で東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通り(鳩居堂前)となりました。価格はなんと1㎡あたり4,272万円。前年と比べて1.1%増となり、3年ぶりに上昇しました。

 

また、前年と比べて最も高い上昇率となったのは岡山市北区本町の市役所筋で9.3%アップの164万円となりました。再開発事業など、中心市街地の充実が図られていることが要因のようです。

 

このように路線価の変化は、その地域の人気や賑わい、その年の景気の影響などがみえてきます。それでは、2023年の路線価について、埼玉県内の状況についても詳しくみてみましょう。

 

- INDEX -

  1. 路線価とは?
  2. 2023年の全国の路線価、「上昇」が増える
  3. 埼玉県内の最高路線価は大宮駅西口駅前

  4. 土地探しの参考に

 

路線価とは?

路線価とは、その年の1月1日時点における道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格のことです。

路線価が定められている地域の土地などを評価する場合に使います。例えば、相続税や贈与税の課税額を決めるための基準にもなります。

 

国土交通省が毎年3月に発表する地価公示に対して、成約事例などを参考に概ね8割程度をメドに決定されます。つまり、公示地価がわからないエリアの土地の価格を知りたいときは、路線価を1.25倍すると近い価格の目安が計算できます。

 

このように、ご自身で土地価格を算出することもできますが、計算式が少し複雑なので、工務店やハウスメーカーの営業マンや専門家に聞いてみるのもよいでしょう。

 

2023年の全国の路線価、「上昇」が増える

2023年の路線価(全国平均)の標準宅地の対前年変動率は1.5%の上昇となりました。2年連続のプラスとなっています。

 

都道府県庁所在地のうち、2023年に最高路線価が上昇した都市は29都市(2022年は15都市)、横ばいが13都市(同16都市)、下落4都市(同16都市)でした。上昇した都市が増え、横ばい・下落した都市が減っています。つまり、路線価は全国的に上昇基調といえるでしょう。

 

上昇した29都市のうち、上昇率が5%以上10%未満が5都市(同1都市)と急増しました。同5%未満の上昇も24都市(同14都市)と大幅に伸びました。

 

標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値

都道府県 2023 2022 都道府県 2023 2022
北海道 6.8 4.0 滋 賀 0.0 ▲0.8
青 森 ▲0.3 ▲0.4 京 都 1.3 0.2
岩 手 0.1 ▲0.2 大 阪 1.4 0.1
宮 城 4.4 2.9 兵 庫 0.5 ▲0.2
秋 田 0.2 ▲0.6 奈 良 ▲0.2 ▲0.7
山 形 0.2 ▲0.1 和歌山 ▲1.2 ▲1.3
福 島 0.4 0.5 鳥 取 ▲0.3 ▲0.7
茨 城 0.4 ▲0.6 島 根 ▲0.2 ▲0.4
栃 木 ▲0.1 ▲0.5 岡 山 1.3 0.3
群 馬 ▲0.7 ▲1.0 広 島 1.4 0.9
埼 玉 1.6 0.4 山 口 0.4 0.1
新 潟 ▲0.6 ▲0.7 徳 島 ▲0.7 ▲0.9
長 野 0.0 ▲0.4 香 川 ▲0.6 ▲0.9
千 葉 2.4 0.8 愛 媛 ▲0.9 ▲1.1
東 京 3.2 1.1 高 知 ▲0.3 ▲0.4
神奈川 2.0 0.6 福 岡 4.5 3.6
山 梨 ▲0.6 ▲0.8 佐 賀 1.9 1.1
富 山 ▲0.1 ▲0.4 長 崎 0.6 0.5
石 川 1.1 0.2 熊 本 2.3 0.6
福 井 ▲1.0 ▲0.9 大 分 0.7 0.1
岐 阜 ▲0.5 ▲0.9 宮 崎 ▲0.2 ▲0.4
静 岡 ▲0.3 ▲0.7 鹿児島 ▲0.2 ▲0.6
愛 知 2.6 1.2 沖 縄 3.6 1.6
三 重 ▲0.4 ▲0.9 全国平均 1.5 0.5

※単位%。▲はマイナス。標準宅地とは宅地に係る標準地のことで、全国の民有地が対象。各年分の数値は前年分から継続している標準宅地(継続地点・約31万6千地点)の評価基準額の対前年変動率の単純平均(標準宅地[継続地点]の評価基準額の対前年変動率の合計を標準宅地[継続地点]数で除し、小数点以下第2位で四捨五入したもの)

 

<表>は、標準宅地の評価基準額の変動率を都道府県別にみたものです。

全国の平均値では、前年と比べ1.5%上昇し2年連続のアップになるとともに、上昇率も2022年(0.5%上昇)より大きくなっています。

 

全国的には、新型コロナの影響で弱含んでいた地価が、「WITHコロナ」に転じ景気が緩やかに持ち直したことで、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部でも徐々にコロナ前の水準に戻りつつあるようです。都心部や交通利便性に優れたエリアでは、引き続き底堅い需要に。これを受けて、各地の最高路線価も上昇しました。

 

都道府県別にみると、昨年ゼロだった5%以上10%未満の上昇率で、今回は北海道が唯一6.8%と5%超に。20年の沖縄県(10.5%)と東京都(5.0%)以来3年ぶりとなりました。地価公示でも高い伸びを示しており、札幌市の住宅地では宅地不足や同市郊外の地価の下落幅縮小が背景に。反面、旧採炭エリアでは人口減少や高齢化による下落もみられ、すべてのエリアが高い伸びを示しているわけではなさそうです。

 

埼玉県内の最高路線価は大宮駅西口駅前

2023年分の税務署別最高路線価(埼玉県)

順位 税務署名 最高路線価の所在地 最高路線価 対前年変動率
1 大 宮 さいたま市大宮区桜木町2丁目
大宮駅西口駅前ロータリー
475万円 8.0%
2 浦 和 さいたま市浦和区高砂1丁目
浦和駅西口駅前ロータリー
210万円 7.1%
3 川 口 川口市栄町3丁目
駅前産業道路
198万円 2.1%
4 西 川 口 川口市川口1丁目
川口駅東口駅前ロータリー
188万円 2.2%
5 川 越 川越市脇田町
川越駅東口駅前広場
111万円 3.7%
6 所 沢 所沢市日吉町
所沢プロぺ通り
102万円 3.0%
7 朝霞 新座市東北2丁目
志木駅南口ロータリー
63万円 3.3%
8 越谷 越谷市南越谷1丁目
南越谷駅南口ロータリー
47万円 2.2%
9 上 尾 上尾市谷津2丁目
上尾駅西口駅前ロータリー
41万円 2.5%
10 春 日 部 春日部市中央1丁目
春日部駅西口駅前広場
36万円 0.0%
11 熊 谷 熊谷市筑波3丁目
熊谷駅前広場
25万円 0.0%
12 東 松 山 東松山市箭弓町1丁目
市道23号線
14万円 0.0%
13 本 庄 本庄市早稲田の杜1丁目
本庄早稲田駅北口広場
10.5万円 5.0%
14 秩 父 秩父市中町
主要地方道秩父上名栗線
8.2万円 0.0%
15 行 田 行田市壱里山町
剣道行田停車場線
6.4万円 0.0%

路線価は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に評価

 

埼玉県内の路線価をとりまとめる関東信越国税局の発表によると、埼玉県内15税務署のうちの最高路線価は、大宮税務署で最高路線価の所在地は「さいたま市大宮区桜木町2丁目大宮駅西口駅前ロータリー」で、475万円でした。2022年と比べると8.0%の上昇となりました。

 

土地探しの参考に

これから土地探しをする人にとって、土地価格の動向はとても気になるでしょう。限られた予算の範囲内で、土地と建物の費用をどうやりくりするのか、とても悩ましい問題です。

 地価上昇の一方で、下落しているところもあります。通勤1時間は良しとするなど探し方を変えることで土地と建物の費用を予算内にする考え方もあります。

 

もちろん、土地選びは価格だけではありません。学区や公共交通機関、スーパーや病院などの施設が近くにあるかなども重要な要素。新しい住まいを検討する際は土地の価格を比べるだけでなく、「ここに住んだら、どんな暮らしができそうか」と、想像してみるのもよいでしょう。

 

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