COLUMN家づくりコラム

2023年度の地価調査、埼玉県内の住宅地は2年連続で「上昇」

イエタッタ編集部
2023.09.30

2023年度の地価調査、埼玉県内の住宅地は2年連続で「上昇」

2023年の都道府県地価調査(基準地価)が各都道府県から発表されました。国土交通省が取りまとめた全国の基準地価は、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率も拡大しています。

 

新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、景気が緩やかに回復するなか、地域や用途で差があるものの、三大都市圏を中心に上昇しています。また、地方圏においても住宅地、商業地ともに平均で上昇に転じるなど、地価の回復傾向が全国的に進みました。

 

- INDEX -

  1. 土地の相場感を知るのに役立つ「基準地価」
  2. 三大都市圏が地価上昇をけん引、都心回帰が影響か?
  3. 住宅地の都道府県別の変動率、トップは沖縄県
  4. 埼玉県内の住宅地、都心に近いエリアで上昇傾向に
  5. テレワークの定着で郊外でも地価上昇

 

土地の相場感を知るのに役立つ「基準地価」

基準地価とは、毎年7月1日時点の1㎡あたりの土地の価格について、不動産の専門家による調査結果を都道府県がとりまとめ、公表したものです。自宅周辺の地価の変動を調べたり、これから住みたい地域の土地の相場感をつかむのに参考になるデータとなります。

 

全国の対前年平均変動率を用途別にみると、住宅地は0.7%の上昇(前年は0.1%上昇)で、前年と比べて上昇率が拡大しています。都市中心部や生活利便性に優れた地域などで住宅需要が堅調で、地価上昇が継続しています。特に、都市中心部の地価上昇に伴い、周辺部にも地価上昇の範囲が拡大しています。また、所得や利便性よりも子育て環境などを重視するといったニーズの多様化もあり、比較的地価の低い地域でも上昇傾向がみられました。

 

三大都市圏が地価上昇をけん引、都心回帰が影響か?

三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)では4.5%の上昇となり、地方圏の1.9%の上昇より地価が高騰しています。コロナ禍からの回復に伴う都心回帰が起きているようです。

 

商業地でも都心中心部は、マンション需要との競合で上昇が見られる地点があるといいます。関係者によると、マンションの最高価格が天井知らずの様相で上昇している状況を示しつつ、「(都心マンションの購入者の中には)外国人投資家も一定程度いる。この状況は今後も続く」と話し、大都市のなかでも中心地に立地するマンションに海外からの資本が入っていると分析しています。

 

住宅地の都道府県別の変動率、トップは沖縄県

住宅地の都道府県別変動率をみると、プラスだった都道府県は、昨年度プラスだった都道府県に岩手、茨城、京都、兵庫の4府県が加わり18都道府県となりました。

 

都道府県庁所在地でみるとマイナスは8市。前年の18市から10市減っています。首都圏の県庁所在地の状況は、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市がそれぞれ2.6%(2.2%)上昇、2.6%(1.5%)上昇、4.2%(2.2%)上昇、2.5%(1.3%)上昇と、全国平均の0.7%を上回る高い上昇幅となっています。

 

ちなみに、最も上昇率が高い都道府県は沖縄県の4.9%上昇、県庁所在地では札幌市の12.5%でした。

 

東京圏の住宅地の状況を見ると、5.0%以上上昇となる区市が前年の2区市(埼玉県浦和区、千葉県浦安市)から16区市に増えました。

 

中心部では、東京都目黒区、港区、品川区。そこから、豊島区、文京区、台東区、荒川区、さらに埼玉県蕨市、戸田市、川口市、千葉県浦安市、市川市、船橋市、柏市、流山市、我孫子市と、中心部から北、西側で上昇の伸びを示すところが目立っています。特に東京都心・中心地のマンション需要は引き続き強く、海外資本を相手方とした取引件数も勢いよく増加しているようです。

 

一方、周辺部での上昇はマンションよりもむしろ戸建てニーズが地価上昇をけん引しました。千葉県市川市は、戸建住宅ニーズの高まりに合わせて、本八幡駅周辺地点はいずれも前年から連続上昇し、1ケタ台から10%台のプラスになるなどの高騰ぶりを示すところが8地点もありました。

 

埼玉県内の住宅地、都心に近いエリアで上昇傾向に

 

埼玉県内の状況も詳しく見てみましょう。

 

 

埼玉県内の住宅地は1.5%の上昇で、2年連続の上昇となりました。県内中心部や生活利便性に優れた住宅地では需要の高止まり傾向があるようです。

 

上昇した市町村は35市町となり、昨年度から5市町増えました。一方、横ばいは4市町、下落は24市町村に減っています。県東部の吉川市や松伏町、春日部市、宮代町、伊奈町、鴻巣市、狭山市が上昇に転じています。

 

住宅地で最も価格が高かったのは、さいたま市浦和区岸町3-1-19の54万2000円/㎡。2位が川口市本町4-10-8の52万1000円/㎡、3位が川口市並木元町6-16の44万3000円/㎡でした。また、上昇率が最も高かったのは、川口市芝2-8-25の7.7%(28万1000円/㎡)、2位が川口市上青木1-5-38の7.4%(26万円/㎡)、3位が川口市飯原町5-13の7.1%(25万5000円/㎡)となっています。

 

いずれも、都心に近接する地域が上昇傾向にあるようです。また、さいたま市を中心に上昇エリアが郊外に広がっている様子もみてとれます。

 

埼玉県内の住宅地価格トップ3

1位 さいたま市川岸3-1-19 542,000 円/㎡
2位 川口市本町4-10-8 521,000 円/㎡
3位 川口市並木元町6-16 443,000 円/㎡

 

埼玉県内の住宅地価・変動率トップ3

1位 川口市芝2-8-25 7.7%
2位 川口市上青木1-5-38 7.4%
3位 川口市飯原町5-13 7.1%

ポイント
浦和駅、川口駅の徒歩圏で生活利便性の高い地点が上位

 

テレワークの定着で郊外でも地価上昇

住宅地では、都心回帰と正反対に、テレワークの定着、地価の低廉さ、比較的高い利便性、地域の魅力形成を理由に、移住・別荘・二地域居住ニーズを摘み取って、地価上昇につなげている地点もあります。

 

沖縄県・宮古島では宮古島からのさらに離島まで県外者からのニーズが顕著。観光に適した地点で事業を営もうとする人を含めた移住が起きています。長野県・軽井沢では別荘需要が根強くあるほか、環境を重視した子育て世帯の移住ニーズも堅調としています。

 

一方で、感染症拡大となる以前から地価下落がとまらない地点もあります。主には、人口減少、過疎化さらに大規模自然災害で被災したエリアにある地点です。地点数で見ても、全国住宅地で上昇となったのは41.6%で半数を超えていません。

 

このように、地価は社会情勢や周辺環境、利便性、需要の増減などで変動しています。土地探しから住宅づくりを始めている人は、基準地価を参考に住みたいエリアの地価を確認してみるのもよいでしょう。土地と住宅を合わせたおおよその予算感をつかみ、理想の住まいづくりにつなげてください。

 

 

 

執筆:住宅産業新聞社

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