COLUMN家づくりコラム

家づくり専門用語をカンタン解説!最近よく聞く「ZEH」って何?

イエタッタ編集部
2023.10.27

 

新しい住まいを「建てたい、買いたい」と思い、雑誌やインターネットなどで住まい関連の情報を探していたら、わかりにくい、難解な専門用語に遭遇したことはありませんか? そんなときは、遠慮をせずに工務店やハウスメーカーの営業担当者に聞いてみるのもいいでしょう。でも、いろいろと聞くのはちょっと気が引ける――。そこで住宅業界の取材を続けて10年超の住宅産業新聞の記者が、難しい専門用語をできるだけ簡単に、わかりやすくお伝えします。

 

今回は、新聞やテレビ、雑誌などでよく見かけるようになった「ZEH(ゼッチ)」について解説します。

 

- INDEX -

  1. 正味のエネルギー消費がゼロになる住宅
  2. 省エネ機器で使うエネルギーをできるだけ小さく
  3. 断熱性能を高めてエネルギー消費をもっと小さく
  4. 住宅がエネルギーを作り、消費エネルギーを相殺
  5. ZEHは日本の住宅のスタンダードに

 

正味のエネルギー消費がゼロになる住宅

ZEHとは、「Net Zero Energy House(ネット ゼロ エネルギー ハウス)」の頭文字をとった略語です。ZEHと書いて、「ゼッチ」と読みます。ゼロエネルギー住宅やゼロエネ住宅と同じだと考えてもらっても構いません。

 

ZEHの概念図

 

それでは、ZEHとはどのような住宅なのでしょうか。単語ごとに分解して、日本語に言い換えてみましょう。すると、このようになります。

 

 ネット(正味の、実質的な)
 ゼロ
 エネルギー
 ハウス(住宅)

 

つまり、「エネルギーがトータルでゼロになる住宅」のことをZEHと呼んでいます。

 

省エネ機器で使うエネルギーをできるだけ小さく

ここでいう「エネルギー」とは、電気やガスのこと。住宅では、生活するために必要なさまざまな家電製品や設備機器があります。これらの機器は、電気やガスを使って動きます。代表的なものですと、エアコンや照明機器、給湯器、コンロなど。生活する上でどうしても欠かせないものばかりです。

 

ZEHは、これらの機器が使うエネルギーをできるだけ小さくします。どのように小さくするかというと、省エネタイプの最新型のエアコンや、少ない電気やガスで効率的にお湯をつくる高効率の給湯器、消費電力の少ないLED照明などを選ぶのです。

 

ところで、一般的な住宅で使用するエネルギーのうち、最も割合が大きいものは何だと思いますか?

 

経済産業省がまとめた統計によると、洗濯機やテレビ、パソコンなどの家電製品や照明を使うための「動力・照明ほか」が約3分の1(34%)を占めています。次に「給湯」(27%)、「暖房」(25%)と続きます。

 

 

※出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書」

 

 

断熱性能を高めてエネルギー消費をもっと小さく

さらにZEHはエネルギーの消費量を小さくするために、住宅そのものの性能を高めます。住宅の壁や床下、天井、屋根などに断熱材という熱を通しにくい建材を入れることで、断熱性能が上がります。こうすることで、夏の冷房や冬の暖房の効きがよくなり、冷房や暖房の運転時間を短くすることができます。運転時間が短くなれば、冷房や暖房に使うエネルギーが少なくなり、結果として省エネにつながります。

 

断熱性能を高める上で最も重要な場所が「窓」などの開口部です。夏は窓から74%の熱が住宅内に入ってきます。一方、冬は窓から50%の熱が外に逃げていってしまいます。冷房や暖房をしてもなかなか室内が快適にならないと感じるのは、熱が伝わりやすいせいかもしれません。ガラスを3枚使った窓や樹脂や木などの熱を伝えにくい材質のフレームを使った窓を選ぶことで、断熱性能は高まります。

 

ZEHには、省エネ設備の導入と断熱性能の向上によって、住宅で使うエネルギーを一般的な住宅と比べて20%以上減らすことが要件のひとつとして求められています。

 

住宅がエネルギーを作り、消費エネルギーを相殺

しかし、これだけではゼロエネルギーにはなりません。そこで、太陽光で電気を生み出す太陽光発電システムやガスを電気分解して水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて電気を作り出す燃料電池(エネファーム)などを住宅に設置することで、使うエネルギーと作り出すエネルギーのトータルで考えてゼロにします。

加えて、蓄電池を組み合わせることで、電気の使用量をぐっと減らすことができます。

 

太陽の光で発電する太陽光発電システムは、日が沈むと発電しません。しかし、日中は学校や仕事などで外出し、主に電気を使うのは朝と夜。そこで役に立つのが蓄電池です。日中、太陽光発電システムで作った電気を蓄電池に貯めておき、たくさん電気を使う夜などは蓄電池に貯めた電気を使えば、電力会社から電気を買う量が減らせます。電気代が高騰する昨今、電気を買う量を減らせるのはうれしいですよね。

また、太陽光発電システムで作った電気は、二酸化炭素を排出しないクリーンな電気です。つまり、ZEHは家計にも地球環境にも優しい住宅ということになります。

 

ZEHは日本の住宅のスタンダードに

2050年に脱炭素社会の実現を目指す国としても、ZEHの普及を後押ししています。ZEHにすると補助金がもらえたり、税制優遇が受けられたりと、ZEHに対する支援が充実しています。

国は、約6年後の2030年度以降に新築される住宅についてZEH基準の省エネ性能を確保するとともに、約6割の住宅に太陽光発電システムを設置することを目指しています。

 

この国の動きを受けて、質の高い住宅づくりに取り組むハウスメーカーが新築する注文戸建住宅においては、2020年の時点で約56%がZEHとなっています。家計にも地球環境にも優しい特徴を持つZEHは、今後ますます普及が加速すると思われます。

近々、住宅づくりを始めようと考えている人は、ぜひZEH仕様にすることも検討してみてください。

 

執筆:住宅産業新聞社

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