COLUMN家づくりコラム

高温多湿の夏を快適に、電気いらずのエコな「調湿建材」を紹介

イエタッタ編集部
2023.07.03

 

高温多湿の日本の夏を快適に過ごすには、湿度を下げることが重要ということは、前回の家づくりコラム(じめっとした梅雨到来、湿気は不快?快適に過ごすには「湿度コントロール」がポイント※)で紹介しました。

 

湿度を下げる代表的な方法のひとつがエアコンの「除湿(ドライ)運転」。でも、最近の電気代高騰を受け、あまりエアコンに頼りたくないと考える人も多いと思います。

 

そこで、家づくりを検討中の今こそ着目したいのが、調湿機能を持つ建材たち。木材や漆喰(しっくい)、珪藻土、羊毛などが調湿機能を持つとされています。

 

これらの建材は「調湿建材」と呼ばれ、室内の湿度が高いときは湿気を吸湿してジメジメ感を軽減し、逆に湿度が低いときは湿気を放出して乾燥状態を防ぎます。

 

最も注目しているのは、「調湿建材は、電気を使わずに、自動的に、かつ半永久的に室内の快適な湿度環境を維持してくれる」という点。調湿建材はエコな建材ということです。

 

現在、さまざまな調湿建材が販売されています。工務店・ハウスメーカーによっては標準仕様で用意していたり、仕様変更によって採用できるケースもあります。気になる建材は、依頼先の設計担当者に相談してみましょう。

 

それでは、代表的な調湿建材をいくつか紹介します。

 

- INDEX -

  1. 大建工業の「さらりあ~と」、呼吸する壁材
  2. LIXILのエコカラット、アートのようなデザインも
  3. 朝日ウッドテックの「the wall(クールジャパン)」、木材が持つ機能に着目
  4. 羊毛や畳にも調湿効果あり

 

大建工業の「さらりあ~と」、呼吸する壁材

大建工業が取り扱う調湿壁材「さらりあ~と」は、建材に微細な空気孔があり、湿度が高いときは空気中の余分な湿気を空気孔が吸収。逆に、湿度が低いときは空気孔がため込んだ湿気を放出して、過乾燥を抑えます。まるで呼吸するような壁材です。

 

吸水力は、一般的なクロス仕上げ壁の約6倍。細かい孔が空いていると、日々のお手入れが心配になるが、シミ汚れがつきにくい防汚処理を施しています。湿気のほか、トイレ臭や生ゴミ臭、ペット臭などのにおいの原因となる代表的な化学物質や、人体に有害なホルムアルデヒドも吸着。健康面でも有効な建材です。

 

寝室やリビングのほか、例えば洗濯物を部屋干しする部屋に「さらりあ~と」を採用すると、湿度が高くなりがちな室内の湿気を抑えてくれるでしょう。

 

>>大建工業の「さらりあ~と」

 

LIXILのエコカラット、アートのようなデザインも

LIXILの内装壁機能タイル「エコカラットプラス」は、水拭きできる「調湿壁」です。表面の超微細構造により、湿気は通すけれど水や汚れは通さないという独自の特徴を持っています。つまり、寝室やリビングなどの居室だけでなく、水はねが気になる洗面室やキッチンなどの水回りにも採用できるのが強みです。

 

調湿性能は、珪藻土の約6倍、調湿壁紙の25倍以上としています。また、吸放湿性能に優れた素材は、室内の湿度を一定に保とうとする働き(調湿性)にも優れています。この優れた吸放湿性能により、室内の湿度変動を安定させて、結露やカビ、ダニの発生を抑制します。

 

エコカラットは1999年の発売から20年以上が経ちました。最近では、花柄や風景写真、アール・ブリュット(障がい者による作品)などのアート作品がデザインされたエコカラットもラインアップされており、DIYで簡単に貼れるように施工性も向上しています。

 

>>LIXILの「エコカラットプラス」

 

朝日ウッドテックの「the wall(クールジャパン)」、木材が持つ機能に着目

調湿機能を持つ木質建材が、朝日ウッドテックの国産材意匠壁「the wall(クールジャパン)」。木の資質を熟知した匠の技術によって、杉や桧が持つ調湿機能を最大限に引き出しました。自然素材ならではの節や木目、色のばらつき、経年による色の変化を楽しむこともできます。

 

木材は、微細な細胞から成り立つ多孔質材料です。つまり、他の調湿建材と同様に、周囲の環境に合わせて水分をゆるやかに吸放湿し、室内の湿度変化を抑える特徴を持っています。

 

「the wall(クールジャパン)」は、木材が持つ調湿機能を最大限に生かすため、厚みを持たせたデザインとしています。また、壁から浮かせてすき間を作って施工することで、表面や側面だけでなく、裏面からも吸放湿できるように工夫しました。また、木材の背面に1.5センチ間隔でスリットを入れることで、さらに調湿性能を高めています。

 

さらに、木材ならではの香りも特徴です。杉や桧が香るのは、フィトンチッドと呼ばれる精油成分によるものといいます。森林浴で癒やされるのは、フィトンチッドの香りの効果によるそうです。このほか、抗菌作用や防虫効果があるとされており、調湿だけでなくさまざまな効果が期待できます。

 

>>朝日ウッドテックの「the wall(クールジャパン)」

 

羊毛や畳にも調湿効果あり

このほか、身近なところでは、「羊毛」にも優れた調湿効果があるとされています。羊毛を織り込んだラグやカーペットを敷くだけでも、調湿効果が得られそうです。

 

空気を多く含む羊毛は、断熱性の高さはもちろんのこと、はっ水性と吸水性、吸湿性を兼ね備えています。羊毛がセーターなどに多く使われているのは、発汗による湿気を吸収、発散するため、蒸れにくいという性質を持つためです。冬は暖かく、夏はサラッとするのが羊毛の特徴なのです。

 

また、日本の伝統的な建材「畳」にも調湿効果があります。畳の原材料となるい草は、多孔質のハニカム構造を持ち、優れた調湿機能を発揮します。また、他の調湿建材と同様に、ホルムアルデヒドなどの有害物質の吸着効果もあるとしています。

 

ジメジメした時期を少しでも快適、健康に過ごすには、建材の持つ「機能」に着目するのもよいでしょう。今後の住まいづくりの参考にしてみてください。

 

 

住宅産業新聞社

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